最後の治療
息子、9回目のレーザー治療でした。
朝、顔に麻酔テープを貼ろうとすると嫌がってとってしまった息子。
母に来てもらい両手を押さえてもらいながら貼りました。
そうして、病院まで高速で1時間。
いつもは熟睡な息子。今日は眠らず、
ごきげんに鼻歌を歌ったり、手遊びしたりしていました。
どこかにお出かけすると思っているのかな?
いつものことながら、ちょっぴり胸が痛みます。
病院では病室に入るまで、ごきげんに遊んでいましたが、
やっぱり入ると嫌がって泣いてしまいました。
治療の前に患部を写真にとり、前回からの色の変化を見るのですが、
ここで先生から、
「今回で9回目になりますので、今までのように劇的な変化は
見られなくなってきていますね。だいたいレーザー治療は5回目までが勝負で、
この子は5回目までに大きな効果が出てきているので、
もうこれ以上やっても効果は見られないかもしれません。
効果があるといっても、ごくわずかな変化でしょう。
どうされますか?」
と聞かれました。
治療の終わりは家族が決めなければならないのです。
前々回の治療くらいから、効果はあまりはっきりわからないようになっていました。
なので、今回の治療についても夫と何度も話し合ってきました。
私としては、もう終わりにしてもいいのではないかと思っていました。
前回と写真で見比べてみれば、「少し薄くなったかな・・。」とわかるものの
印象としては、それほど変わりがないほどの効果。
まったくわからなくなるように消すことはできないとは、最初から言われていました。
それならば、体を押さえつけてまで、怖い思いをさせてまで、治療を続ける必要は、
もうないように感じていました。
それに、治療が終われば、もう日焼けを気にする必要がないので、
日焼け止めをべったり塗らなくても、
大きな帽子をかぶらなくても、
好きな時に好きなだけ外で遊ばせてあげられること、
プールだって、海だって、好きなだけ連れていってあげれること(夏終わっちゃったけど)
そっちのほうが今の息子にとって大切な気がしていたのです。
でも、夫の気持ちは反対でした。
ごくわずかでも効果が見られるなら治療を続けてあげたい。
治療が終われば、いくらでも自由に遊ばせてあげられるんだから、
今しかできない治療をできる限りしてあげたい。
何度も話し合いましたが、何度話し合っても
夫の気持ちに迷いはなく、私はずっと迷っていました。
私だって、全部消せるものなら消してあげたい。
だんだん、治療の効果が薄くなっていることに気づいても、
でも、もう1度やれば、次は大きな効果が出るかもしれない。
そう思ってここまで続けてきたのです。
わずかな望みをもちながら、治療を続けていくほうが、
本当は楽なのかもしれません。
でも、もう決断する勇気を持たなくてはいけないのではないか?
2つの思いの中で、ずっとずっと揺れていました。
結局、夫とは、今回は治療してもらうことにして、これで終わりにするかどうかは、
その後の経過を見て決めるということになりました。
でも、先生の話を聞いて、また、私はまた迷っていました。
迷っている私を見て、先生は、
「1度外に出て考えてもらってかまいませんので、それからどうなさるか決めてください。」
と言ってくださいました。
1度、待合室に出て考えることにしました。
どうしよう・・。涙がぽろぽろ出てきました。
今まではただ、前だけを向いて治療を続けてきました。
今は辛くて痛い思いをさせたとしても、こうして治療をうけさせることが、
必ずしもプラスではないにしろ
(見た目が多少、人と違ったとしても,
だからこその強さやさしさをお持ちになって
幸せに生活していらっしゃる方が
たくさんいらっしゃることは知っているので)
絶対にマイナスにはならない。
そう強く信じていたから、幼い我が子に治療をうけさせることができたのです。
でも、迷いがある中で痛みを与えなければならないということは、
これまでとは違い、すごく辛いことでした。
夫に電話をしてみましたがつながらず、
治療に毎回同行してくれる両親からは、「今日を最後にしたら?」
と言われました。
悩んだ末、もう1度だけ治療をしてもらうことにしました。
こんな気持ちのままで、治療を終わらせたら、
この先、あと1度治療をうけさせてあげてたらどうなっただろう?
と後悔しない自信がなかったのです。
治療台の上に固定される時、息子はすごく暴れて嫌がったので、
父にも来てもらい大人5人がかりで押さえつけなければなりませんでした。
絆創膏で両目に目隠しをされ、それが嫌で大きく泣いた後は
覚悟を決めたかのように歯をくいしばって泣き止み、
抵抗せずおとなしく治療をうけた息子。
あまりに静かなので父は「これって痛くないもんですか?」
と質問していたけれど、やっぱり、
「痛いです。相当がんばって我慢してるんだと思いますよ。」
とのこと。
そんな息子の姿を見たからなのか、まだ迷いがあるからなのか、
これが最後だからなのか、今までのことがフラッシュバックしたからなのか、
強い息子とは反対に、涙をこらえきることができなかった私。
時折、確認するかのように「ママーママー」と呼ぶ声に、
「ごめんね、ごめんね。」って謝ることしかできませんでした。
そんな弱い母を笑わせてくれたのは、やっぱり息子。
治療後、処置室を出る際に明るく「じゃね~!ばいばーい!」って手を振る姿は
私だけじゃなく看護婦さんや先生、みんなを笑顔にしてくれました。
いつもながら、そんな息子に感謝の気持ちでいっぱいになってしまうのです。
生後3ヶ月の時から、ずっとずっと辛い治療に耐えてきてくれた息子。
痛い治療すること、ママたちが勝手に決めちゃってごめんね。本当にごめんなさい。
がんばってくれて、ありがとう。
そして、治療に毎回同行してくれた両親、
励ましてくれた友だち、
先生、看護婦さん、支えてくれたすべての人たち、
本当にありがとうございました。
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